染物とデザイン
少しマニアックな話かもしれない。そもそものわたしのデザイン専門分野は商業的な印刷物のデザインである。 染物のデザインをする際、紙と同じ感覚でデザインしてしまうと、どうにも違和感が生じる。 それは何故かと、色々試してきた上で、大まかに理由を考えてみたところ、印刷物は平面的で、...
紺屋の明後日
「紺屋の明後日」とか「紺屋の白袴」ということばがある。 紺屋とは染物屋のことで、両方ともルーズな感じの意味で私にもかなり当てはまってしまう。 ルーズさの原因は私の性分もあるが天候による部分もある。 引き染めの作業は気温と湿度にとにかく左右される。...
暖簾をくぐる
生まれた頃から着物に囲まれ過ごしてきた夫と比べると、わたしは真逆で、30歳を越えるまで日本の文化に意識して触れてみることなく過ごしてきた。 20代は海外への憧れもあり、面白いと感じたのは違いがわかりやすい異文化だった。その頃に少しだけ海外での生活も送ったけれど、海を渡ってか...
目印
幼い頃よく迷子になった。 私の兄は連れて行ってくれるのだが連れて帰ってくれないのだから迷子になるのもしょうがない。 2,3歳の頃家族旅で訪れた飛騨高山の朝市で迷子になり、泣いていた私はパトカーに乗せてもらい、何の手がかりもない中、家族を探してもらっていた。...
春ははじまり
室礼(しつらい)という好きな言葉がある。言葉の響きが綺麗だし、字面を見ても背景に澄んだ空気みたいなものを感じられてとても好ましい。 意味は簡単に言ってしまうと、準備をするということなんだけど、もう少し丁寧な説明になると、おもてなしの心を込めて形をつくり、人を迎える準備をする...