着物考 そのニ 沼地

これから着物を着てみたい方に先に断りを入れておくと、着物は沼であると申し上げたい。

最初は恐る恐る足を踏み入れても慣れというのは恐ろしい。気がつくと足元どっぷり沼にハマっている。

ひとつには自分好みを見つけ出すには時間がかかるというのがある。洋装の好みはわかっても、和装となると、似合うと思ったものよりも、少し斜め上からなど意外性のあるものの方が良かったりすることがある。

反物であれ、仕立て上がったものであれ、実際に顔まわりに当てて確認してみないと始まらない。

まず色に関しては、種類の多さ、生地とのバランス、肌の色、目的、自分のキャラクターなどなど、選ぶのになかなかな迷い具合が生じる。

次に柄物に関しては、普段洋装なら絶対に着ないテイストのものが意外と和装であるとしっくり来てしまう場合がある。着物の妙である。

一枚の着物に三本の帯と言うが、そこに帯揚げ帯締めが加わり、まず最初の沼の入り口に到着する。

自分の経験でも、着物や帯は譲り受けたもので、小物を変えてちょっと雰囲気を変えてみようかなんてふと思うと、道明の帯締めの種類と色の多さに愕然としながらもその中でも使い勝手を考えながら真剣に選ぶ最中に、自分は沼にハマっているなと感じるのである。

着物を着ることは趣味人とまではいかないが、知らないで通り過ぎることが出来てしまう世界のようになってしまった。

なかなか入りにくい世界ではあるが、一度沼に入ってみると、ただ単純に楽しい世界であると思う。





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