

1903年頃、紋章上絵師 西 菊蔵が山梨県甲府市中央にて創業。
現在、三代目紋章上絵師として清春、弥生が現在地で従事している。

紋章上絵のこと
紋章上絵とは、いわゆる紋を手描きする技能のことで、
家紋を日本の伝統的な正装である紋付などに描く職人を、紋章上絵師といいます。
情緒感や季節感を自由に表現した日本独自の「紋章」文化は、他国では例を見ることができません。
その数は何万種類とあり、常用家紋とするものだけでも5000種類はあるとされています。
上絵技術は生地や用途により、上絵紋、摺込紋、切付紋等に大別され、
いずれも紋型紙彫刻、面相筆運筆の技術を必要とした上で、職人の紋の形に対する感性も非常に重要です。
下絵や模様の描き方ひとつとっても微妙な差が生まれるため、同じ紋の形であっても、誰が入れても全く同じものにはなりません。
なぜなら、そこに「あじわい」が生じるからです。
西紋店では、手しごとにこだわり、人の息遣いが感じられる昔ながらの技術を大切にしながら
一つひとつ手描きで紋入れをしています。

縫い紋のこと
縫い紋とは、糸で紋章を表すことから、別名「刺繍紋」とも呼ばれています。
さまざまな刺繍の技法で表すので、染め紋と異なって立体感があり、趣味ごころを感じられます。
縫い紋は染めの紋に比べ、略式になるので、色無地や訪問着につけると略礼装の装いとなります。
また、定紋を草木や自分好みの物で飾り、加賀友禅のような華やかさを持もたせた縫い紋を「加賀紋」と呼びます。
洒落紋と呼ばれお洒落感覚で遊び心がある紋入れの方法もあり、
これらのオリジナル性の高い図案を用いる縫い紋は、無地感覚の着物などにアクセントをつけることもできます。
図案・配色の作成には、自由度が高いほど紋章上絵職人の仕事の中でもセンスが試されます。
西紋店では、図案・配色などデザインを清春が担当、刺繍と仕上げを妻 弥生が行います。
全て刺繍は「手刺繍」にこだわり大切に制作しています。
西紋店の紋入れ

日本人が情緒感や季節感を自由に表現した「紋章」文化
伝統の技術をこれまでも、これからも。
近年、印刷紋などの普及により全国でも手描きで紋を描き入れる職人が少なくなる中、西紋店では、一点一点手描きで描き入れる昔ながらの伝統技法にこだわり制作しています。
手描きの紋は、印刷紋、捺染紋などの方法と比べると、同じ円一つ描くにしても、線に微妙な強弱が生じ、そこに人の息づかいが感じられるような凛とした美しさが生まれます。
「後世に残して恥ずかしくないものを」。
この気持ちを常に大切にしながら、これからも守り続けていきたいと考えています。
家紋は苗字と同様に代々続くその「家」を表す、日本にしかない大切な文化です。
ぜひ、大切にして身近に感じていただきたいと思います。
創業110年の確かな技術で、染め紋から縫い紋まで各種承ります。
紋入れの種類については下記「紋の種類」をご参照ください。
紋の入れ替え・紋消しについてもお気軽にご相談ください。


西紋店 三代目 西 清春
全国紋章上絵連合会員。
1979年、総理大臣表彰受賞。
上絵紋 制作工程 紹介




紋の種類

誂え染め
白生地のうちに紋を付ける場所へ表と裏にのり伏せをし着物を染めたのちにのりを落とし、描き入れる方法。
紋の技法の中で一番格が高いとされる。

上絵紋
黒紋付、黒留袖のように、石持のある紋の場合、
色を摺り込んで、その後、分廻し(コンパス)や筆を使って
シベ(細い線)を描いて仕上げる。

染抜き紋
生地をその紋の形に抜染し、紋を描き入れる。
色を挿して修正して完成させる。

切付け紋
生地をいじらずに本式の紋を入れたい場合。
紋を替えたいとき、染めが抜けずに紋抜きが出来ないとき
又、生地が弱っていて抜き替えが難しいときなどに用いる。

摺込み紋
型を用いて染料や顔料等を刷毛で摺り込む。
祝い着や道着、袱紗などで用いることが多い。

縫い紋
糸を使って紋を表す方法を縫い紋(刺繍紋)といいます。
様々な刺繍の技法により表されます。
作品/事例
染め紋

着物の染め(色無地):西染物店 山梨県 紋入れ 紋章上絵処 西紋店 制作例